【元支援員が解説】就労移行支援事業所ってどういうところ?就労移行に4年間勤務した元支援員が解説!

皆さんは就労移行支援事業所(以降、就労移行)と聞いてどのようなことを連想されますか?そもそも就労移行って、大半の方が馴染みのないかと思います。今回は就労移行とは何なのか?どういったことを行うのかなど、就労移行に関する全般的な情報を大手の就労移行に4年間勤務した元支援員が解説します!!

サマリー

就労移行は障がい者が企業への就職に向けたトレーニングを受けるところ。
ほとんどの人が原則無料で受けられる。ただ、期間中の生活費は実費。
いろいろな就労移行があるので最低2~3社、見学して決めよう。

目次

就労移行とは?

就労移行は、障がい者総合支援法に定められた福祉サービスになります。大きく福祉サービスには「就労移行」と「就労継続」の2つがあります。今回は、その中でも就労移行にフォーカスしてお話します。就労移行の特徴は一般企業への就職を目指す障害のためのサービスである点です。ここでいう一般企業は概ね障がい者雇用枠の企業を指しています。そのため、障がい者雇用枠での就職を目指している人が通うサービスが就労移行と考えて相違ないです。

就労移行は、どんなところなの?

就労移行と言っても提供するサービスが様々なので施設の雰囲気ややることも様々です。私も就労移行に勤務していた際に色々な就労移行を見学しにいきましたが、普通のオフィスのような施設から工場の中にある施設、畳敷きのエンジニアスクールのようなところまで本当に様々です。ただ、目的は一般企業への就職。ここは大きく変わりません。

就労移行には、どれぐらいの期間通うの?

通う期間は人とカリキュラムによって異なります。というのも、今の就労移行は大きく2つに大別されるためです。1つ目が事務・作業系の就労移行、2つ目がWeb・IT系の就労移行です。次の章で詳しく各事業所の説明をしますが、概ね事務・作業系の就労移行が3ヶ月から6ヶ月、Web・IT系の就労移行が6ヶ月から1年ぐらいを想定しておくといいでしょう。

就労移行では、どんなことを学べるの?

就労移行は主に、事務・作業系、IT・Web系の2つに大別されます。それぞれの特徴を表にまとめたのでまずはそちらを確認していきましょう。

カテゴリ就職期間学べるスキル就職先主な年齢層
事務・作業系短い
(3~6ヶ月)
PCスキル
(エクセル関数初期レベル)
障害者雇用枠40代
IT・Web系長い
(6~12ヶ月)
プログラミング
Webデザインスキル
障害者雇用枠
一部は一般企業
20代

事務・作業系の就労移行の特徴は就職までの期間が短く、早く障がい者雇用枠の企業に就職したい人におすすめです。一方で専門スキルを身につけることは難しい場合が多く、スキルアップやキャリアアップを目指す方には向きません。一方、Web・IT系の就労移行は就職までの期間は長いものの、プログラミングやWebデザインなど、専門性の高いスキルを身につけることができます。そのため、スキルアップやキャリアアップを目指す方20代の方が多い印象です。

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自分にあう就労移行をみつける3つのポイント

自分にあう就労移行を見つけるのはとても難しいことです。というのも就労移行は全国で3,301箇所も存在し、都会では乱立しています。その中で見つけるためのまずは、3つのポイントをお伝えします。

①就労移行は通過点。自分が将来のキャリア(就職先)を考えて事業所を選ぼう。
②1社で決めるのは絶対にNG。必ず、2~3社回って決めよう。
③施設の知名度よりも、職員や施設の雰囲気が自分に合うか見学で見てみよう。

①就労移行は通過点。自分が将来のキャリア(就職先)を考えて事業所を選ぼう。

就労移行はあくまでも通過点です。必ず、自分が将来どういう会社でどういう仕事をしてどれだけは稼ぎたいなどキャリアを考えた上で事業所を選びましょう。特に、Web・IT系の就労移行はスキル習得の難易度が高いため明確キャリアビジョンがないと挫折する方が多い印象です。将来のキャリアを実現することは甘くはないですが、モチベーションにつながるのでぜひ考えをまとめて言語化しておくことをおすすめします。

②1社で決めるのは絶対にNG。必ず、2~3社回って決めよう。

これはよくありがちですが、就労移行を探す際に支援者からのアドバイスを鵜呑みにして、何も考えずに事業所を決めてしまう方がいます。大前提として支援者のアドバイスは的確な場合が多く、多くの方がミスマッチなく事業所に馴染んでいる場合が多いです。ただ、元支援者としておすすめしたいのは必ず2~3社回って決めることです。というのも、就労移行選びを間違えると自分の将来のキャリアが大きく変わってしまうためです。そのため、自分の将来のことを考えて納得した意思決定をするためにも必ず2~3社見学した上で来ましょう。特に20代の方は進捗に就労移行選びを行いましょう。

③施設の知名度よりも、職員や通所者の雰囲気が自分に合うか見学で見てみよう。

今の就労移行の市場は大手企業に利用者が殺到して、利用待ちが発生している状態です。大手の就労移行についてはまた記事化しますが、人によってあう合わないが明確にわかれます。就労移行は職員や通所者によって同じサービスでも全然、施設の雰囲気が変わります。見学だけでは難しい部分もありますが、最低限見学対応してくれる職員の方が誠実か?どういう障害種別の方が通っているのかは確認しましょう。職員の方がシステマチックで質問に答えてくれない。精神でHSP気質の方は、発達や知的の方とは相性が合わない場合があります。自分の特性やニーズを理解した上で施設選びを行いましょう。

就労移行の利用の流れ

就労移行の概要を説明した上で、次に就労移行の利用方法について解説します。主な流れは下記の通りです。

①自治体に受給者証の申請に行く
②計画相談事業所に行き、サービス等利用計画書を書いてもらう
③受給者証の発行を待つ(平均で1ヶ月ほどかかります)
④通所を始める

色々とわからない専門用語が出てきたので、それぞれ解説します。

①自治体に受給者証の申請に行く

就労移行を利用するには受給者証が必ず必要です。受給者証は福祉サービスを受けるにあたって必要な証明書のようなもので、各自治体の障害福祉課に行き申請します。就労移行によっては、申請までの予約を一緒に取ってくれる事業所もあるので、この事業所がいいと決めたら職員の方に相談して早めに申請しましょう。

②計画相談事業所に行き、サービス等利用計画書を書いてもらう

次に、受給者証の申請に当たってサービス等利用計画書の申請が必要になります。サービス等利用計画書はその人が希望する就労移行支援事業所をなぜ必要としているのか?利用後にどういうことに気をつけていけばいいのかなどが書かれた書類になります。それを代わりに書いてくれるのが計画相談事業所です。計画相談事業所に行けば、数時間質問に答えていくだけで計画書を書いてくれます。また計画相談事業所の担当者は就労移行に通い始めた後も定期的に相談に乗ってくれるので計画相談事業所はぜひ活用しましょう。

③受給者証の発行を待つ(平均で1ヶ月ほどかかります)

①と②が終わったら、受給者証の発行を待ちましょう。自治体によってかかる期間は様々ですが、平均で1ヶ月ほどかかるケースが多いです。なので、良い事業所が見つかったらできる限り早く申請にすることをおすすめします。

④通所を始める

受給者証の発行されたら、就労移行に通所することができます。基本的に就労移行の担当者から連絡があると思いますが、自分でもいつ受給者証が発行される予定か確認しておくと通所までの準備ができるのでよいでしょう。

その他、就労移行に通うにあたって注意するべきポイント3つ

最後に、就労移行に通うにあたって注意するべきポイント3つを元支援員の経験からお伝えします。

通所期間中の生活費には余裕を持ちましょう。
通所後のミスマッチは一定あります。
利用者同士の距離感は大切に。

通所期間中の生活費には余裕を持ちましょう。

就労移行に通っている期間はアルバイト禁止です。見つかると受給者証が停止され、訓練できなくなるので注意してください。今まで私が見てきた中で多いケースで、思っていた以上に就職に期間がかかってしまい、金銭的に余裕がなくなり焦って就職するケースです。就職までのペースは本当に人それぞれです。途中で体調を崩したりして長引くケースも多々あるので、通所の期間は概ね8ヶ月~1年ぐらいはかかることを想定して、生活費を想定しておくと安全でしょう。

通所後のミスマッチは一定あります。

私の事業所でもありましたが、通ってみてイメージと違った。職員や利用者と馬が合わないなど、ミスマッチは度々発生します。そのような場合は無理せず、他の事業所に移動しましょう。ただ、受給者証は最長で2年間しか使えないので、移動できても2事業所ぐらいまでが現実です。3事業所以上渡り歩いている方もたまにいますが、どの事業所に行っても100%ミスマッチを減らすことは無理です。一般企業に入ってもミスマッチは必ず一定存在するので訓練だと思い、無理しないレベルで我慢することも大切な場合もあります。

利用者同士の距離感は大切に

たまに利用者間で金銭貸し借りや宗教勧誘、恋愛関係でトラブルになることがあります。就労移行では色々な利用者と接するのは刺激になり良い面も多いのですが、本来の目的は一般企業に就職することです。その目的は必ず忘れずに、利用者とは適度な距離感を保ちましょう。

まとめ

いかがだったでしょうか?いろいろなポイントについてお伝えしてきましたが、正直百聞は一見にしかず。就労に通いたいと思ったら、まずは見学にいってみることをおすすめします。見学でカウンセリングを受ける中で自分はなぜ、就労移行に通うのか、通った後どうなりたいのか考えることを自分のこれからの人生を考えるきっかけになると思います。本当に色々な事業所があるのでそこを見分けるポイントはこちらの記事を参考にしてみてください!!


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この記事を書いた人

新卒で就労移行事業所に就職。4年間、現場での直接支援と合わせて施設の立ち上げや施設長、事業企画などを担当。その後、人材紹介会社のマーケティング職に転職し、広告運用、SEO、SNSマーケなどを担当。現在はマネージャーとして後輩の育成に苦闘中。現職の経験を活かしつつ就労移行に関する情報を中立な立場で発信したいと考え、就労移行情報まとめを立ち上げる。

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